2013年1月27日日曜日

スキーブーツR&Dで作ったブーツの特徴 その4


「私の思うR&Dで作ったブーツの特徴などを書いてみようかと思います」の続き。
今回は作る話の続き。

長くなったので細切れで。

■カウンセリング
この普通には聞き慣れないカウンセリング。

ここでは自分のブーツに対する要望を伝え、それを受けて山本さんからブーツに関わる情報をもらい、ブーツのメーカー、モデル、グレード、サイズを選定していきます。


ここで特徴的なこととして、「『足型でブーツを選ぶ』というやり方は考えなくていい」、という話と、「ブーツ選びをする主役は自分自身である」という二つの話をしたいと思います。


「『足型でブーツを選ぶ』というやり方は考えなくていい」

一般によく言われることに反して、「『足型でブーツを選ぶ』というやり方は考えなくていい」と言われます。
どんなブーツを選んでもベストで履けるようにチューンできるという自信と技術があるから、「痛くないブーツがいいです」では、ブーツ選びの条件にならないというわけです。
実際、
「足型的に履けないブーツとか、逆に、足型的に合っているブーツとかありますか?」
と私も昔聞きましたし、何度か参加したブーツセミナーでも同じことを聞いた人がいましたが、
「ない。どれでも履ける。みなさん、自分の足はひどい形なんです、とおっしゃいますが、まだ足型が理由で履けないブーツがあるという例は見たことがない」
との回答でした。

(ここもおもしろい話があるのですが、脱線なので割愛。)

さらに、フォーミングも基本的に使いません。ノーマルインナーを使います。
これも「足型」の話と同様で、足に合わせるという目的では、シェル加工でびたっと合わせられるのでフォーミングをフィッティング調整という目的で考えた場合、不要とのことです。

足が痛くない前提で、シェルのチューニングとノーマルインナーの組み合わせでまだ不満がある場合や、フォーミングならではの○○な特徴を採用したいフォーミングをしたいという理由があれば、相談に乗ってくれるそうです。(読みにくいので修正・加筆)
ただし、WCレーサーでもフォーミングユーザは決して多くはないそうですし、R&Dのお客さんにはほとんどないそうです。これは、ノーマルインナーの品質が高くなっていることと、ノーマルインナーならではの力の逃げ加減がよいことが理由だそうです。
私自身、R&Dのブーツにしてからノーマルインナーの実力を見直す結果になりました。フォーミングより楽で高性能です。

山本さんに断片的に聞いた話を総合すると、
「足に合わせるのは技術で解決する。どんな滑りをしたいのかをはっきり言ってくれたら、それが最大限生きるブーツを選ぶし、快適な状態にしてブーツを渡す。それでスキーを楽しんで!」
というメッセージではないかと私は勝手に思っています。


「ブーツ選びをする主役は自分自身である」

山本さんはブーツに対して深い知見や知識もありますが、
「あなたにあうのはもうこれです!これしかありません!」
というようなことは言いません。
私たち利用者の要望を聞いたうえで、山本さんからその要望をかなえるベストと思う提案がありますが、最後は自分自身で選ぶというスタイルでいます。

もう今時のブーツはどこでも品質的には大きな差はないし、市販されているラインナップにも差がないので(もちろん、特性は差がある)ので、
「君にはラングだよ」
とかいう魔法の選択はないというのは当然としても、無条件に最良のブーツなんて存在しないということなんだと思います。

最近の例だと難しいですが、「サロモンとノルディカはどっちがいいですか?」なんて質問をしても答えはありません。誤解を恐れず極端なことをいえば、製品の設計コンセプトとして、足首の動かし方やポジションの取り方が両者は全然違うので優劣をつけることはできません。でも、本人の要望にどっちが合っているかという答えはあります。
滑り手がいろいろな条件を出すことによって初めて、
「それならサロモンの方が合っている」とか、「それならノルディカの方が合っている」
という解があるわけです。

このブーツの特性からみて本人に何が合っているか、というのはまさにR&Dならではの情報だと思いますので、この情報を活用しない手はありません。
昔からの慣れを優先するというのも一つの選び方ですが、同じブランドが同じ傾向を維持しているとも限りませんし、自分のスタイル、技術レベル、スキーでどんな楽しみ方をしたいのか、をしっかり伝えてみて、R&Dならでは情報を活用してブーツを選び直してみるというのもおすすめの手です。

ちなみに、私がラングを作ったのは慣れ親しんだブーツだから。ATOMICで作ったのは、こんな風な感覚を重視したいといって選んでもらったブーツだからです。


さて、メーカーやモデル、グレードが決まったとして、同じくらい重要なのがサイズ。
サイズ選びは実は奥が深く難しいです。

特に上級者。自分のことをよくわかっているはずなのですが、上級者になればなるほど小さいサイズを履きたがるという傾向があるそうで、小さすぎるブーツを履いている人も多々いるそうです。
そうでなくても、製品なので自分の足のサイズが本当にぎりぎりで中途半端なときは、上を選ぶか下を選ぶか悩ましいです。
さらに、難しいのは足を入れるだけではなくて滑ったときへの考慮。
ブーツはどんなにフレックスの堅いモデルを選ぼうが、シェルがたわんで戻る、というバネのような動きをします。この動きが非常に重要なのですが、シェルがたわめば当然、形が変わるのですが、この形が変わるための余裕を残しつつ、大きすぎないサイズを選ぶ必要があります。

(ここもおもしろい話があるのですが、脱線なので割愛。)



ということで、サイズ選びは奥深く、非常に難しいで、一度プロの目から自分の足に対する分析や選んだブーツの特性を比べて選んでもらうことは非常に価値あることだと思います。


このカウンセリングを経て、自分に合う、ブーツのメーカー、モデル、グレード、サイズが決まります。


ちなみに、ブーツ選定では高いものを買わせようという意思は一切ないそうです。
意味なくトップグレードだからと硬すぎるブーツを履いている人が多いようなので、グレードダウンを提案する場合の方が多いそうです。

4 件のコメント:

KNJ さんのコメント...

歳を経るにつれ、サイズが変わる(大きくなる)という話もあるよね。

katsumune Suzuki さんのコメント...

こういうリアルなお話は中々聞けないので、たいへん参考になります。

数あるブーツチュンショップの中でも
山本さんのお話だけは、少し論点が違っていて興味深く思っていました。

特にR&Dのネットネタは少なく、たいへん興味深くよませていただいています。

kz さんのコメント...

>>KNJさん

その話は面白いので後で載せましょう。


>> Katsumune Suzukiさん

そうなんです。ネットに意外にも情報が少なくて、「又聞きの噂」みたいなのが誠しやかに書かれていたりするのがちょっと納得いかず、なら自分の体験談を書いてみるかと思ったところです。

本音を言うと、あんなに苦労していたブーツですが、解決してしまうともうその先の滑りに興味が移ってしまうと言うか、合わせるまでの話に興味がなくなってしまうんですよね。だからネット上に書く人があまりいないのかなぁと思ってみたり。


KNJ さんのコメント...

表現しづらいってのもあるかなぁ…
初めてR&Dのブーツを履いた時の印象って、なんか緩くね?って感じで、スッゲーいい感触のブーツが手に入ったと言うよりも、普通の履き心地?という感じで、印象が薄かった気がする。
それが、実はすごいことだってわかるのは、滑りだしてからで。