2014年3月3日月曜日

スラロームの基礎を考える マテリアル編 その6 (選手用スキーを使う?)

スラロームの基礎を考える マテリアル編 その5で「フレックスの傾向も大きく違うのですが、それは長くなるので別エントリーで。」とネタを振ってしまった、フレックスの話。

選手用のスラロームスキーは、速く滑ることを目的に作られているので、セカンドモデルに比べると、フレックスも硬く、返りが速く設計されています。

これは、正しい使い方を練習で身につけた人を対象に、体力も鍛えてある選手を対象に設計されている、ということを意味しており、利用者の想定を絞る代わりにとんがった性能を持たせているわけです。はっきり言えば、未熟な技術を救済することに重きを置いていないので、どこに乗ってもスキーがたわんだり曲がったりするように作られていません。
「正しく使え!身体を鍛えろ!話はそれからだ!」
という作りなんです。

あれ?じゃあ、選手並みに身体を鍛えないと使えないの?というと本当はそうなのですが、抜け道も実はあるんです。それは最後に書きます。

この正しく使うというのは簡単には語り尽くせないのですが、大原則としては、
・スキーの真ん中に乗り、
・ターン前半でスキーをたわませて圧をためながらカーブし、
・ターン後半で圧を解放して次のターンに入る
という辺りだと思います。

特に、ターン後半での抜けをよくするため、テール部分のサイドカーブは緩く、細くつくってあります。なので、ターン後半で圧を加えてもグリップはすごいですが、もうたわみませんし、大してスキーは曲がりません。もともと設計段階からターン後半で曲がる気も無いのですから仕方がありません。

ターンを作るのは谷回りの役割となっていてい、スキーの前半分を使ってカービングをするとスキーがぐいぐい曲がる設計になっています。そして、ここでしか原則たわみません。
なので、スキーが下を向く前にターンを作れる動きが必要になります。

まとめると、ターン前半でトップを食い込ませルぐらいのポジションでカービングし、ターン後半は曲がり終わったターンを仕上げるだけ、というぐらいの滑りに変えていかないと、曲がらないし、ずらすと疲れるつらいだけのスキーになってしまいます。
上記の通りの滑り方をするとスイートスポットは狭いですが、ちゃんとたわみます。

また、フレックスが硬いというのは、返りを速くするための結果です。
つまり、選手がすごい勢いでたわませたスキーは、次のターンに入るために鋭く速く返ってきてほしいわけです。ここがのんびり返ってくるようではターンのリズムが速くなりません。なので、たわませた後の返りの速さ、強さに対応する必要があります。
このとき、ポジションが後ろ気味では、速くて強い返りに振り回されてバランスを崩してしまいます。ここはテクニックと筋力の両方が要求される部分だと思います。

さて、こうなると選手用のスラロームスキーなんて手強くて手が出せないじゃないか、という話になるのですが、本質的にはその通りなんです。あれは屈強な選手達が使うための道具なんです。

しかし、私達が使うための抜け道もあるのです。
それは、実は簡単な手立てですが、成人男性が女子選手用を使うとか、成人女性がジュニア用を使ってしまうとか、一段ランクを下げたスキーを選んでしまうということです。
鍛え上げた選手達と同じ筋肉量ぐらいか、似たような体重にすれば選手用のスキーといえどもちゃんとたわむので、それを選んでしまうのです。こうすることによって、選手用スキーの良さを味わうことが出来ます。

慣れてきたら男性が男子選手用を、女性が女子選手用を選ぶのは否定しません。
なぜなら、市販の選手用は、ほんとのトップクラスの選手用ではなく、高校生から大学生ぐらいが使うレベルのものが販売されていることが多いのです。
なので、私達でも正しい使い方を覚えれば、履けないことはありません。

私が最初に手に入れた選手用のスラロームスキーは、156cmで女子用でした。
これは当時72kgだった私の体重を持ってすれば、いくらでもたわますことができたので、「正しい使い方」を勉強するには最高でした。使い方がわかってきてからは、たわみすぎたりして怖くなってきたので男子用選手用に変更しました。より乗り方がシビアになりましたが、楽しく乗れているつもりです。

ヤフオクなんかでも安く手に入るのでスラロームに挑戦するなら、選手用のスキーを選んでもいいと私は思います。

ただし、正しい使い方を教えて貰えるあてがあるならば、という条件がつきます。
それと、チューンナップはきちんとされていないとびっくりするほど性能が発揮されません。これも結構面倒なところかもしれませんが、これも条件に加わります。

面倒な部分もありますが、そこを理解して使えばいい武器になりますよ。

4 件のコメント:

KNJ さんのコメント...

次エントリの補強の話もあるけど、選手用だからと言って、必ずしも硬いわけではないよね。ものによってはセカンドモデルよりも、選手用の方が柔らかい場合もあるし。そもそも、市販に回る選手用は、選手用の中でも…
古い話だけど、ロシ4S C.D.M辺りは、普通の4SKよりも柔いくらいだったと記憶してるし。

kz さんのコメント...

そうですね。歴史は繰り返し、ロシの9Sより9S c.d.mの方が柔かったですね。そのころロシの暗黒時代で、限定販売の選手用だけが柔らかくて、市販モデル全てがガチガチだったこともありましたし。選手用はマーケティングから遠くて案外保守的ですね。

ただ、後ろ目に乗ってたり、ターン後半で踏ん張る滑りだと、硬く感じると思いますので、正しい使い方を強要されるのは変わらないと思います。

KNJさんのFischerだって、ターン後半しか踏んじゃダメ、って言われたら硬いですよ。

KNJ さんのコメント...

あと、滑り出せば扱いやすいとは思ってるけど、他の板と比べるとエッライ重たいよね。
球に他人の板を持つと、よくわかる。

kz さんのコメント...

たしかに。同じATOMICでも165cmのSLより、169cmのblue star ACが軽いのには驚きました。

重いスキーを運びたくないので、宿はゲレンデとつながっているあそこがいいです。