2016年7月26日火曜日

スキーブーツR&Dのスペシャルコースで作ってみた(その2)

息切れしてしまった「スペシャルコースの内容の前に「その高額なコースを何故選んだのか」という部分の続き。

前回、「一番の理由は私自身がもっと体を動かした滑りをしたくなったということに強く関連する」というところまで書きましたので、そことどう関連してスペシャルコースを選んだのか、その理由を書いていきます。

「もっと体を動かしたい」というのは、前後ポジションの悩みと足首の前傾角にも書いた、足を伸ばせない悩みに関連します。
ここでの悩みを要約すると、以下の二つです。
・もっと足のストロークを大きく使いたいのに使えない。
・もっと足を伸ばした状態で外力を捉えたいのにそれができない。



こんな風にがっつりと足を伸ばして滑りたいのですが、実際に雪上でトライしても図の右側のように頭の位置が前にずれて重心の位置をセンターに維持できなくなってしまい、さっぱり期待した感触を得ることができません。



センターを外さないようにと思うと足が縮こまってしまいます。
伸ばしきれないなぁと思いながら滑っています

山本さんに相談したりしながらこの原因を突き詰めていくと、私の足とブーツの前傾角の相性に問題があることがわかりました。

ベーシックコースで作ったブーツは、私自身、最高にいいブーツだと思っていましたが、残念ながら完璧ではありませんでした。
ベーシックコースのゴールはあくまで、
「スキーブーツの中に正しく足を入れる」
ということで、前後ポジションやフレックスパターンの最適化は行われていません。

ベーシックコースで足が正しい位置に入ることで、それまで足の向きがずれていて感じることができなかったものを感じることができたり、足が痛くて思うように動けなかったタイミングで動けるようになったりした結果、今度はベーシックコース自身の制約が気になり始めてしまったのでした。

ここで、選択肢としては二つあります。

一つは、
「ブーツの前傾角が自分にとっては強すぎる傾向にある、と言うことを理解した上で滑りを組み立てる。体の動きとしては理想から少し外れるけど、道具を使うスポーツとして制約を受け入れて工夫するのは当たり前である。」
という考えかたで行くものです。具体的にはこんなイメージです。



もう一つは、
「ブーツの前傾角が自分にとって強すぎる傾向にあるならば、ブーツ自体を調整して、滑りは自分の理想を追求する。道具を使うスポーツならば道具はとことん自分に合わせる。」
という考え方で行くものです。具体的にはこんなイメージです。


ここで例によってスキーブーツR&Dの流儀としては、どちらかがいいとは言ってくれません。言ってくれるのは、それぞれのコースを選んだ時、私がカウンセリグで話した内容にあわせてどういう影響が出るのか、もしくは、どういう取り組みをしていくべきか、という判断材料と、それぞれの制約の中で最高のものを提供しますよ、という約束までです。
「これでバッチリだよ、やっちゃいなよ」的な話は一切なしです。
そのブーツを履いたあとのスキースタイルとしてどういう期待と展望があるのか、またそれに見合う費用をどれくらいと考えるのか、それは全て私が判断すべきというスタンスです。


さて、自分を振り返って考えます。
私自身は膝の怪我があったり、筋力的な自信がないこともありするため、中間姿勢と低い姿勢を行き来する滑走スタイルは自分自身のスキー寿命を縮める不安がありました。
そしてなにより、自分専用に完全に作られたブーツがどんな結果をもたらすのか見てみたい、という欲求に駆られて決断することにしました。

ちなみに、ある人からは、
「うちは山本みたいに設計して何度にするとか決められないけど、だいたいこれくらいっていう加工ならずっと安くできるよ」
ということも言ってもらいました。これはこれで非常にありがたい提案だったのですが、今回の私にとっての論点の一つはまさにその設計でした。

何度に起こすのがいいのかがわからないので、やり過ぎても足りなくても判断ができません。ブーツの製品開発をしている山本さんにそこを設計してもらい、そして確実にその通りに作り込んでもらうといことに価値を見出し、拘ることにしてみました。
精緻に設計されたベーシックコースを履いた時の感動と同じことが、もう一度味わえるならば、一度はありだと考えたのです。
というような形で、長年の懸念をクリアするために選択したのでありました。

ということで、「その高額なコースを何故選んだのか」は、だいたいこんなところです。
次回以降で「本当にその効果があったのか」に続きます。
ま、これは私が「効果あり」って言えば効果ありって話なんですけどね。

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