2016年11月13日日曜日

グローバル指導者育成セミナー1日目

東京都スキー連盟主催のグローバル指導者育成セミナーの1日目に参加してきました。

東京都グローバル指導者育成セミナー」って書かれたパワポが表示された時は、せっかくグローバルな視点にしようとしたのに、その冠が東京都だと、狭いの?広いの?と苦笑いになりましたが、まぁ、そんな細かいことは気にせずに中身に集中。

ギュンター・マーダーとベンジャミン・ライヒを生で見れるだけでもありがたいのに、オーストリアのメソッドやライヒの実際の練習動画を練習目的などを説明してもらいながら聞けたのは非常に有意義でした。

特に今まで断片的にしかしらなかった、オーストリアメソッドの構造の話を聞けたのはよかったです。
ギュンター・マーダーやベンジャミン・ライヒらが説明するオーストリアのスキー教育体制を聞いて、実はメソッド単体での価値よりもそれと関連する2つをあわせた3つの枠組みであることが重要だと理解しました。
その3つとは、
・リファレンスモデル(理想とする滑り)
・メソッド(理想とする滑りに近づくための工程、手段)
・ガバナンス(リファレンスモデルとメソッドを守らせる仕組み)
です。

リファレンスモデルは、「理想とするテクニック」という言葉を使っていて、何を目指すのかを共有するのです。これは「速いものは強く、美しく、効率がいい」という価値観で築かれていました。

メソッドは、そのリファレンスモデルがあってこその、そこへ行くための道筋。
これは年代別に何を重視するのか、とか、その際にどんなことに取り組むべきかなどが、雪上以外についても言及していました。
その場では数ページぐらいが引用されているだけでしたが、CSCFのメソッドはおそらくオーストリアのメソッドがお手本なんだろうなぁと想像させるような枠組みでした。

ガバナンスは、これらリファレンスモデルとメソッドを浸透させるための仕組み。
オーストリアが求めるトップレーサーにつながらない勝手なテクニックや勝手な指導論で教えないようにするため、国家検定スキー教師という資格があり、「no license no job」と、資格がないものには教える仕事はさせない、という枠組みができてるのだそうです。


「それじゃあ画一的になってしまうのでは?」なんて浅はかな疑問には、ちゃんと個性にあわせたテクニックにはどの年代から取り組むべきか、なんて感じで年代別のテーマに含まれており、しっかりと熟成が進んでいます。

彼ら自身は「様々な問題もある」と言っていましたが、ベースラインとしての役割としてはよくできていると感心しました。


皆川賢太郎さんがスキー連盟の理事として「日本でもメソッドの整備に着手した」という話をしていましたが、3つセットでやってほしいところです。
少なくとも、「リファレンスモデル」(目標)をまず定義してそのための「メソッド」(手段)にしてほしいところです。

手段のための手段を突き詰めるというよくわからないものにならないことを切に願うところであります。



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